The Absence

Riders of the Plague

Riders of the Plague

 フロリダのデスラッシュ/メロデスバンド「The Absence」の2ndアルバム、全12曲約55分、10曲目「Into The Pit」はTestamentのカバー。
 一言でいうとArch Enemy系列のメロデス。攻撃性重視でメロディアス・パートが峻別されており、1曲まるごとメロディアスな曲はあまりありません。骨太なサウンドでクールなリフワークが一番の聴きどころで、テクニカルなギターリフも多用されます。
 なお、個人的にはグッとくるものがない一作でした・・・。
 確かにカッコいいんですよ。メロいパートがあっていいなぁ、と思うこともあるんですけど、なんだか煮え切らないんですよね。彼らの場合だとギターワークとサウンドの構成はハイレベルなんですから、もうメロディアス全開にするかブルータリティ全開にするかに能力値極振りしても良いんではないかと。。。
 ってなわけなので、無理してまで聴く必要はない作品かなぁ。。。キーボードを使用しないちょっとメロいデスメタルが好きな方なら聴いてもいいかもしれません。攻撃性を求めるならCarnal Forgeを、メロディを求めるならKalmahを聴くことをオススメします。

↓1曲目「Riders Of The Plague」 この曲はカッコよかった!

Ataraxie

アルバム名;Slow Transcending Agony

 フランスのフューネラル・ドゥーム/デスメタラー「Ataraxie」の1stアルバム、全5曲約51分、1曲目は6分程度のインスト。
 お葬式気分満点な曲調が永遠に続くかと思いきや、途中
 ブラストして死に急いだり(疾走したり)ヴォーカルが発狂したり(高音域のヴォーカルスタイルになったり)
 と、なかなか緩急のついた一作でした。。。
 ギターリフは曲の雰囲気よりもテクニカルな面を出していきたいらしく、パートによってはただのデスメタルになっちゃってる所も。。。個人的にはひたすら遅い・重い・暗いフューネラル・ドゥームが聴きたいので、そこがちょっと残念でしたね。リバーヴの効いたヴォーカルがフューネラル・ドゥーム感を出して、かなりメロディアスでメランコリックな雰囲気を出すことにも成功しているだけに、本当にもったいなかったなぁとしみじみ感じております。。。
 ちなみに3曲目後半のメロディ、4曲目の曲調や雰囲気はなかなかGoodなもので、この手の音楽が好みの方にも安心してオススメできるレベルです。
 というわけですので、デスメタルのリフが所々入ってくるのが気にならないお葬式メタラーの御仁であれば結構気に入っていただけるはず。ちなみにデスメタル要素が一番顕著なのはラスト5曲目で、
もうこのままObituaryのカバーバンドつくっちゃえよ
というほどにデスメタルなんデスよね。。。

↓4曲目「Slow Transcending Agony」タイトルトラックは伊達じゃないッッ!

Blood Of Kingu


アルバム名「De Occulta Philosophia」

 ウクライナの不思議ちゃんブラックメタル・アーティスト「Blood Of Kingu」の1stフルレンス、全9曲約29分。DRUDKHのメンバーがやってるらしいです。キングーとはバビロン神話に登場する神の一人で、その神の血と肉で人間が創られたんだとか。。。つまりアーティスト名を解りやすくすれば
「人間の元」
・・・うん、やめておきましょう。ちなみにTherionの曲名に同じものがあるのはきっとただの偶然。
 1曲目は物凄くバビロンチックな民謡のフレーズをこれでもかと詰め込んだインストで、なだれ込むように2曲目へ突入します。
 ファストブラックを基調としており、心地よいブラストビートやトレモロメロを聴くことができます。しかしながら激しくノイジーでブラストしまくるドラムが軽い軽い。そして皆さんの期待を裏切らない安定の
謎の呪詛ヴォーカル
何言ってるのこの人状態で、ちょっと危ない人がボソボソ呟いてる姿を想像してしまいます。
録音現場を想像したらもうそれはそれは微笑ましい光景が目に浮かんできますね。
 ちなみにギターの音が若干小さく、音質の設定等によってはノイズしか聴こえなくなることもあるため注意が必要です。まぁ、こんなアーティストを聴く方にとっては特に問題はないと思われますが。。。

 とまぁこんな感じのピンポイント過ぎるツボを狙った作品ですが、気になった方は試聴してみて下さいな。古代バビロニアに想いを馳せたい方、呪詛を聴いてまったりした朝を迎えたい方はさぁ行ってみよー。


↓2曲「Your Blood,Nubia! Your Power,Egypt」 住職さんがよくヴォーカルとして誘われるらしい←

高額商品

Whisper Me Wishes

Whisper Me Wishes

 本作はオランダのエクスペリメンタル/エレクトロニカ・アーティストの作品で、いわゆる
 傑作
 なわけですが、なんでしょう。このお値段。

 H26.2.13現在、811,547円。。。

 え。中古で車買えるんだけど。
 アマゾンの値段表示がおかしいのは知ってるけど・・・これ、ぶっ飛び過ぎw



Kauan

Kauan「Kuu...」

 ロシアはチェリャービンスク出身の元アトモスフェリック・ドゥームメタル、現ポスト・ドゥーム・アーティスト「Kauan」の4thアルバム、全4曲約46分。
 初期の音楽性は浮遊感のあるシンセサイザーをバックにデス・ドゥームメタルを演奏していた彼らですが、その音楽性は時間の経過とともに柔らかさを帯び、現在ではデスヴォイスを捨て、本来の意味での”ポスト”ドゥームメタルの境地へと辿り着きました。簡単に例えるならそう
泉に落ちたジャイアンがキレイになって帰ってきた感じ。
うん、言っておいてなんだけど、意味わかんないね
 本作の音楽性について大雑把に説明すると「アトモスフェリック系のポストロック」でしょうか。浮遊感を演出するシンセサイザーが常に鳴り響き、弦楽器がメロディラインをなぞります。作中の音楽性はほとんどがそのような構成なのですが、4曲目のラスト3分間でのリフはなんとフューネラル・ドゥーム。・・・あれ?一瞬グロウルが聴こえた気が・・・。なお、本作のヴォーカルは男性が主体で、ロシア語で歌っております。
 1曲10分を超える曲が4曲中3曲あり、聴く人を選ぶことに間違いはありませんが、浮遊感のあるシンセサイザーの音色が好みの方には気に入っていただけるはず。。。ただ、メタルを聴きたい方には・・・ちょっとオススメできないかもしれませんなぁ。


↓1曲目「T〓htien Hiljainen Laulu」 これを聴いてから注文するまでの時間はそう長くなかった。

蟲師

蟲師 (1)  アフタヌーンKC (255)

蟲師 (1) アフタヌーンKC (255)

 最近ハマリの漫画、アニメ「蟲師」。
 基本的に一話完結で、隻眼の主人公ギンコが様々な「蟲」と関わっていくという物語。もうね、この世界観大好き!
 時代設定は「日本の昔」。何時代かはわかりません。どこまでも広がる大自然の描写がとてつもなく綺麗で、グイグイ惹きつけられちゃいました(笑)漫画の方は絵が荒くて好き嫌いが別れるかもしれませんが、個人的にはその色褪せ具合がたまらなく好印象。ちなみにアニメ版での音楽の創り方は繊細で美的センス溢れる出来栄えとなっており、「雪譜」を出した頃の姫神の音楽性にかなり近いものを感じました。しかも毎回エンディング曲が違うという凝りよう!
 たまらんですばい(←誰?)
 物語の核となる「蟲」についてですが、これはその辺にいるような「虫」ではなく、また
MAN vs WILDで貴重な栄養源となる虫
でもなく、生命の根源に近く生と死の境にあるものなんだそうです。それが人間にもたらす影響を調べて対処するのが「蟲師」で、主人公はその蟲師なんです。
 作品の雰囲気は穏やかなものが多く、戦闘シーンなんてものはまったくありません(お前にしては珍しいとか言うなー!)。結構暗い物語が多く、そんな中で時々ほっこりする話があるんですよね。個人的には「緑の座」、「春と嘯く」、「残り紅」なんかがお気に入りの話。。。
 今度アニメで第2期が始まるらしく、楽しみでしょうがないです(笑)ノスタルジックに浸りたい人は見てみてくださいな〜。

なお、蟲師は喫煙推奨作品ではありませんので、そこんとこよろしくね

Uaral


「Sounds Of Pain」


 チリのアンビエント/デプレッシヴ・フォーク・ドゥーム・アーティスト「Uaral」の1stフルレンス。全9曲約67分。
 以前彼らの2ndを紹介しましたが、今ここにきてようやく彼らの音楽性を理解することができました。”メタル”という枠の中で説明しようとするからややこしくなるのです。彼らの音楽的源泉は南米の民族音楽であり、牧歌的で抒情的なその響きの中に自らが感じた孤独感や寂寥感といった感情を乗せ、最終的にメタルとも融合したのです。
 フォーキッシュなアコギのリズムを主体とし、それに加えて笛の音色やシンセサイザーを用いた哀愁溢れる音造りがたまらなくふつくしい。。。たまにエレキギターを用いたドゥームメタル的なリフを聴かせつつ、ゆったりゆったりと沈みゆく退廃美を奏で続けます。また、ヴォーカルのスタイルが多様で、ガテラル・ヴォイス並みの全身に染み渡る低音ヴォイスの他、無機質なクリーン・ヴォイス、ウィスパー・ヴォイス、そしてイーヴィルなデスヴォイスも聴くことができます。曲中男の泣き呻く声が聴こえるものがあり、なんだかこちらまで哀しくなってくるほどの凄まじい表現力です。
 8曲目は「Uaral」というアーティスト名がタイトルの曲で、約5分間、なんと延々と男の泣く声と雨音を聴くことになります。9曲目は本作2曲目のデモ・バージョンのため、実質この曲が最後という凄まじい終わり方をします。また、本作のタイトルトラックである4曲目「Sounds Of Pain」は19分にも渡る大作で、彼らの特徴をすべて盛り込んだ名曲です。特に7分20秒辺りから聴くことのできるエレキギターのソロメロディはあまりにも優雅で切なく、聴くたびに鳥肌が立ってしまいます。
 さて、以上が大まかな説明ですが、本作に”メタル”を求めてはいけません。聴く人をかなり限定しますが、ハマる人はどっぷりハマると思います。どこまでも続く終わりのない灰色の空、そんな中で孤独を味わい続けるかのような退廃感を感じたい方は、ぜひ本作を聴いてみてくださいな。


↓4曲目「Sounds Of Pain」


ついでに南米音楽のイメージも紹介しておきましょう。有名な曲では「コンドルは飛んでいく」とかありますね。



あぁ・・・旅がしたい・・・!!知らない土地を歩きたいようっ!!