Uaral


「Sounds Of Pain」


 チリのアンビエント/デプレッシヴ・フォーク・ドゥーム・アーティスト「Uaral」の1stフルレンス。全9曲約67分。
 以前彼らの2ndを紹介しましたが、今ここにきてようやく彼らの音楽性を理解することができました。”メタル”という枠の中で説明しようとするからややこしくなるのです。彼らの音楽的源泉は南米の民族音楽であり、牧歌的で抒情的なその響きの中に自らが感じた孤独感や寂寥感といった感情を乗せ、最終的にメタルとも融合したのです。
 フォーキッシュなアコギのリズムを主体とし、それに加えて笛の音色やシンセサイザーを用いた哀愁溢れる音造りがたまらなくふつくしい。。。たまにエレキギターを用いたドゥームメタル的なリフを聴かせつつ、ゆったりゆったりと沈みゆく退廃美を奏で続けます。また、ヴォーカルのスタイルが多様で、ガテラル・ヴォイス並みの全身に染み渡る低音ヴォイスの他、無機質なクリーン・ヴォイス、ウィスパー・ヴォイス、そしてイーヴィルなデスヴォイスも聴くことができます。曲中男の泣き呻く声が聴こえるものがあり、なんだかこちらまで哀しくなってくるほどの凄まじい表現力です。
 8曲目は「Uaral」というアーティスト名がタイトルの曲で、約5分間、なんと延々と男の泣く声と雨音を聴くことになります。9曲目は本作2曲目のデモ・バージョンのため、実質この曲が最後という凄まじい終わり方をします。また、本作のタイトルトラックである4曲目「Sounds Of Pain」は19分にも渡る大作で、彼らの特徴をすべて盛り込んだ名曲です。特に7分20秒辺りから聴くことのできるエレキギターのソロメロディはあまりにも優雅で切なく、聴くたびに鳥肌が立ってしまいます。
 さて、以上が大まかな説明ですが、本作に”メタル”を求めてはいけません。聴く人をかなり限定しますが、ハマる人はどっぷりハマると思います。どこまでも続く終わりのない灰色の空、そんな中で孤独を味わい続けるかのような退廃感を感じたい方は、ぜひ本作を聴いてみてくださいな。


↓4曲目「Sounds Of Pain」


ついでに南米音楽のイメージも紹介しておきましょう。有名な曲では「コンドルは飛んでいく」とかありますね。



あぁ・・・旅がしたい・・・!!知らない土地を歩きたいようっ!!