IFRSと借地権

 またしても意見保存用日記です。読みたい方だけどうぞ(笑)なお、これは私の勝手な意見です。間違ってる部分があるかも知れません。なので、鵜呑みにしちゃあ、いけないヨ♪


 我が国における借地権の扱いは、借地借家法第2条1号において「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう」と定められている。また会計上の借地権の扱いは、会社計算規則第74条3項3号ロにおいて「無形固定資産」としてオンバランスすることが定められている。これらの現況に鑑みれば、現時点において借地権の無形固定資産計上は妥当と言える。しかし、IFRSとのコンバージェンスによって無形固定資産に対してメスが入れられた場合、状況は一変するものと考えられる。
 結論から述べれば、IFRSとのコンバージェンスにより、借地権は有形固定資産計上が妥当するものと考察する。
 現在我が国において無形資産に計上されている項目は法律上又は契約上「権利」と呼ばれるもので、借地権も上記の定義に当てはめれば「賃借権」に該当する。しかし、我が国においては無形資産について具体的に定義した会計基準は存在せず、金融商品取引法会社法において限定列挙されているのみである。一方、IAS38号においては、無形資産は「物的実体のない識別可能な非貨幣性資産」と定義されており、明確に区分されている。権利を無形資産に計上するのだから一見何の問題もないようだが、公開草案「リース」における使用権モデルの実体に照らすことにより、その問題は浮上する。公開草案「リース」において、使用権資産は「有形固定資産」に計上することが定められている(25項b)。「使用権資産(right of use asset)」と呼ばれるように、計上が要求されているのは資産を使うための「権利」であり、これを有形固定資産としてオンバランスすることは、物件を使用することによって得られる経済的利益を実質的に享受するという取引実態に則したものと考えられる。この考え方に変更がなければ、借地権は有形固定資産に計上すべきではないだろうか。
 我が国における無形固定資産の具体例としては、著作権、商標権、意匠権、入漁権、鉱業権など、実際に形状はないが法的に権利として認められたものであり、これらの項目についての無形資産計上に異論はない。しかし借地権においては、その経済的実態は上記使用権モデルと同視可能なものと考えられる。使用権資産が有形固定資産に計上される理由は上記の通りであり、対してこれを借地権に照らし合わせる。借地権は、対価を支払い土地を借り、その土地を使用することで経済的利益を実質的に借地者が享受する。この観点からすれば、物件、土地のように取引内容に物的実体が存在するため、IAS38号における無形資産の定義には反するものとなる。また、普通借地権の経済的実質は売買取引と同様である。一度貸借した土地は半永久的に借地者のものであり、例え法的には所有権が移転せずとも、会計上では完全に所有権が移転したものとみなすことが可能と考えられる。よってこれらの論拠から、借地権は結果的に「土地」と同様有形固定資産に計上することが妥当と考察する。