マルチ商法にご注意を

 最近大学生の間で流行っているようなので、ここに注意喚起の意を込めて記載させていただきます。皆さん、マルチ商法又はマルチまがい商法(連鎖販売取引の勧誘には十分お気を付けください。
 さて今回はあまり書きたくないのですが、誰かのお役に立てればと思い書かせていただきます。私、この間・・・といっても結構前ですが、友人からマルチ商法の勧誘を受けました。突然「○○(場所)に来てくれ」という連絡があり、友人なので断るわけにはいかず強引に連れて行かれたのですが、そこではなんとマルチ商法の説明会があり、組織ぐるみの勧誘を受けてきたのです。その場に着くまで友人からは一切の説明はなく、本当に突然でした。当然私はそういった商法に関しては知識がありましたので相手をおだててその場を凌いだのですが、聞けば他にもいろいろな友人が勧誘されているようなのです。
 そもそもマルチ商法とは、無限連鎖講(ねずみ講)に類似した商法のことであり、「無限連鎖講の防止に関する法律」によって規制される商法と非常に類似する点が多い商法なのです。具体的には、無限連鎖講は金銭的な配当を主体とした組織であるのに対し、マルチ商法は商品そのものを販売することを目的とする組織で、この点で差異があります。商品販売ということで一見何の問題もないように見えますが、その販売方法が問題なのです。マルチ商法は、無限連鎖講同様
 祖→親→子→孫→孫の子→・・・
 というように次々人を勧誘し、そこで新規参入した会員(下位会員)に商品を押し付け、上位会員はその代金を受け取り(実質的な販売行為)、次はその下位会員がさらにこれを繰り返します。つまり
「投資額は会員を増やすことでいずれ回収され、その後はさらに大きな利益を得ることができる」
という宣伝を行い、下位会員を募るのです。ここで当然、構造的に見ればその"儲け"は上位会員ほど大きく下位会員ほど小さくなりますが、勧誘可能な人間は"有限"です。いずれ限界が訪れ、破綻するのは時間の問題なのです。

 この販売形態は非常に厄介で、現在はかなり複雑な構造を取るところもあるようです。しかし、その経済的な実態は「会員を増やす」という手法が多く取られているため、ある程度見分けることは可能なようです。私が勧誘されたところはまさしくこの手法でした。なお、この商法では実際に客に商品を販売するよりも会員に売り付ける方が効率的であるため、そちらを推奨してきます。一つ5,000円もする石鹸など、一般的に考えて誰が買うのですか?
 この商法に引っかかってしまう方、申し訳ないですけど言わせていただきます。
 あなたは頭が悪い。
 頭が良いのはこの手法を考案、実行する幹部の連中です。引っかかる方はその途方もない甘言に感化されただけで、幹部の連中の言葉を盲信しているにすぎません。その言葉を自分の言葉としてすり替えただけで、その性質はいわば虚構です。
 私の友人の話に戻しましょう。彼は既に何十人も勧誘しているそうですが、参加してくれる者はほとんどいないようです。最近では人間不信の状態に陥っているようで、このように話しています。
 「なぜ誰も自分を信じてくれないのか。これは絶対に儲かるのに。
 さらにこのようにも言っていました。
 「自分は友達のためにも誘っているんだ。このチャンスを一緒に活かしたいんだ。」
 その気持ちは本当でしょうか。少なくとも、私にはそれが真実の言葉のようには響きませんでした。彼はただ、会員が予想以上に集まらなかったため焦っているようにしか見えません。私からすれば、その発言は結局単なる"独善"にすぎないのです。また、幹部の言葉を信じすぎたためか、完全に"宗教"にハマったような状態に陥っているのです。さながら選民思想のような思考さえ感じられ、他人に対してかなり見下した態度をとってきます。まるで、「こんな素晴らしい稼ぎ方を知らないなんて大した人間ではないな」と言わんばかりに。
 私がこの商法に対して徹底的に反発する最大の理由、それは"人間関係の崩壊"の一点に集約されます。私の友人とは長い付き合いですが、もはやこれまでです。友情などという感情は微塵も感じておりません。
 最後に、もし仲の良い友人に勧誘されてしまった場合は、まずあなたにとって大切なものとは何かをじっくり考えて欲しいと思います。一人の友人か、その他複数の友人か。信頼関係とは、いとも容易く崩れるものです。価値観は人それぞれですが、信頼関係の代償として得られる利益など、もはや比較の対象ではないのです。
 以上、ここまで長々と読んでいただき、ありがとうございました。今回は私が今まで抱えてきた"事実"をもとに書いております。この文章が少しでも誰かのお役に立てれば幸いです。