Ahab

Call of the Wretched Sea

Call of the Wretched Sea

 ドイツ産ナウティック・フューネラル・ドゥームメタル・アーティスト「Ahab」の1stアルバム、全7曲約68分、4曲目はインスト。
 彼らの音楽的源泉はハーマン・メルヴィルの「白鯨」にあります。原作の難解かつ暗澹たる様相はフューネラル・ドゥーム特有の耽美的暗黒性と深く結びつき、まるで深海をたゆたうが如き印象を聴き手に与えます。ちなみにバンド名である「エイハブ」は白鯨(モビー・ディック)へ復讐を誓う船長の名前から引用されています。
 本作はフューネラル・ドゥームにしては展開が多く、それでいて神秘性が徹底して保たれています。暗く重苦しいギター、ベースの奥に聴こえる神秘的なメロディラインはそれぞれ対照的であるにも関わらず、見事な調和が感じ取れます。
 そして何より本作のヴォーカリゼーションは、個人的には最高に素晴らしい。同系統のEvokenと同等かそれ以上に低く感じるほどの美声で、体に深く響き渡る感覚がたまらなくGood。。。
 本作はフューネラル・ドゥームを聴く方には是非とも聴いていただきたい一作です。ここまで徹底したコンセプト・アルバムは希で、そのコンセプトと音楽性の調和もかなりハイレベルです。1曲目「Below The Sun」を下に貼っておきますので、是非聴いてみてください。私はもう少し聴き込みたいと思います。