Deafheaven

Roads to Judah

Roads to Judah

 アメリカ産ポスト・ブラック/シューゲイザー「Deafheaven」の1stアルバム。輸入盤全4曲約38分。
 かつてポストロックは、ロックの既成概念を脱し、新たな音楽性を模索するという意味で用いられていました。そのアプローチはロックのみならず、ヘヴィメタルにまで及び、必然的に柔軟で多様性のあるブラックメタルと結びついたのです。今では”ポストロック”という言葉はかつての意味からすれば形骸に等しくなっていますが、その実験的指向性はこのブラックメタルの中に深く息づいていると考えています。本作「Roads To Judah」はその流れにおける一つのステータスと言えるでしょう。
 本作の音楽的な基調はブラックメタルのそれです。激しいブラストに喚き系デスヴォイスのスタイルを踏襲し、表面的には非常に攻撃性の強い作風と捉えられます。しかし、ギターの音の運びはシューゲイザー系統によく見られる浮遊感を模しており、曲中での展開は耽美性に重点を置いているように感じられます。
 個人的なお気に入りは1曲目「Violet」で、12分19秒という長さです。アンビエント・パートから緩やかにギターが導入され、4分を過ぎたあたりからブラックメタル・パートに移行し、後半で落ち着きを見始めるとそのままフェードアウトしていきます。これはいいですよ〜。
 あと最後に、残念なことに歌詞カードは入っていないのですが、日本盤にはきちんと入っているそうです。さらにボーナストラックが4曲入ってトータルトラックが60分を超えるそうなので、そちらの方がお得といえばお得なのかも知れません。私のように原盤通りが好きな方にはオススメしませんが。。。
 ということで、本作はシューゲイザーブラックメタルが好みの方にオススメできると思います。ただ、聴く人によってはインパクトに欠けると感じられる可能性がありますので、まずは試聴してみることをオススメします。ちなみに私は結構気に入って聴いております(笑)

↓1曲目「Violet」 こ・・・心地良い・・・!