Leviathan(USA)

Tentacles of Whorror

Tentacles of Whorror

 アメリカはサンフランシスコの地下で1998年から活動を開始した、カオティック・デプレッシヴ・ブラックメタル・ソロプロジェクト「Leviathan」の2ndフルレンス。全12曲約72分。
 本作は陰惨極まりないジャケット通り、狂気と暗黒に彩られた世界観が延々と奏でられます。エフェクトで割れて歪んだ発狂ヴォーカルに、底なしに吸い込まれそうな不協和音の音塊が亡者のように絡みつきます。さらに輪郭の不鮮明なシンセサイザーの音がより一層不安を駆り立て、聴く者の心の安寧を根こそぎ奪い去っていくようです。
 この作品を手掛けたWrest氏は他にも様々なプロジェクトを企画していますが、このプロジェクトが私の知る限り最もおぞましく、そして狂気に満ち溢れています。デプレッシヴ・ブラックメタルには大きく分けて内向的攻撃性と外向的攻撃性の二種類があると勝手に考えているのですが、このプロジェクトは極端に外向的攻撃性が強いと感じています。自らの不幸を嘆き自らを攻撃するのではなく、まるで不幸は他者によってのみもたらされるものと言わんばかりの、エゴイスティックな殺意に満ちた攻撃性、とでも言いましょうか。歪んだ暗黒性が前面に押し出されています。
 そんな恐ろしい作品ですが、それも一つのアプローチであると解釈すれば、非常に興味深い作品とも言えます。個人的にはこの作品はとても気に入って、結構な頻度で聴いておりますよ。。。


↓9曲目「Requiem For A Turd World」