Dark Moor

タロット

タロット

 今作はメタラーとしての登竜門「Dark Moor」の六枚目のアルバム「Tarot」です。タロットといえば占いが有名ですが、今作はまさにそのタロットをモチーフにした、ある意味でのコンセプトアルバムとなっています。22の大アルカナがあるわけですが、今作はそのうちの10(魔術師、戦車、星、運命の輪、皇帝、塔、死神、恋人、吊るされた男、月)が題材とされていますね。日本のゲーム「ペルソナ」をプレイしたことのある方なら興奮すること間違いナシ!!・・・のはずです(汗)では、行ってみましょう。。。
 日本盤全11曲約55分で、ラストの「Mozart's March」はボーナストラックです。・・・ってこれは「トルコ行進曲」ですよ。ノリノリのメタルカバーで、2分40秒程度の仕上がりです。クラシックを聴いて首を縦に振りたくなったのはこれが初めての体験でした。。。
 このバンドは以前からクラシックを曲構成に取り込んできたわけですが、今作でもしっかり聴くことができます。10曲目の「The Moon」はまさにその典型で、ベートーベンの曲を交えながら11分にも及ぶ大作を聴かせてくれます。おっと、曲のタイトルがタイトルなだけに「月光」を使っていると思いましたね?ふっふっふ。
・・・正解です(汗)
しかし使っているのは確かなのですが、曲はなんと「運命」のジャジャジャジャ〜ン♪から始まります(汗)私もまんまと騙されましたよ(汗)しかしこれがなかなか上手い構成で、曲の前半と後半が「運命」、中盤が「月光」となっており、緩急付いた、長いながらも聴きやすい曲なのです。歌詞もコンセプトアルバムらしく幻想的且つ核心を突いた素晴らしい出来で、もはや言うことなしの大作と言えるでしょう。
 10曲目の紹介はこの辺にして、他の曲も魅力的なものばかりです。1曲目の「The Magician」という名にふさわしい怪しくも壮大なインストの後に来る「The Chariot」は、まさに力の象徴であるような重いリフが特徴で、パワーメタルのお手本ともいえる曲です。そして4曲目の「Wheel Of Fortune」は今作中最もギターリフが冴え渡る曲で、2分15秒あたりからのギターソロはパワーメタルファンなら必聴の会心の出来。これはカッコいいですよ〜。6曲目の「Devil In The Tower」は約8分の長尺の曲で、4分20秒辺りからのアカペラによる輪唱が印象的。この曲は怪しい雰囲気が好きです(笑)続く「Death」はドラムが常に爆走する荒々しい曲で、ボーカルも力を込めて歌っていますね。今作中最も激しい曲です。そしてそんな中で一際明るい光を放つのが8曲目「Lovers」です。私はこの曲目当てでこのCDを購入したのですが、これは本当に素晴らしい!分かり易いリフに歌メロ、まさにパワーバラードと言ったところで、唯一しっとりとした曲調の曲です。22もあるアルカナの中からこの「恋人」を敢えて選ぶとはなかなか良いセンスですよ。ちなみにタロットの「恋人」は逆位置になると「盲目」、「空虚」などの破滅的な意味になり、歌詞からも読みとれるように崩壊への第一歩として捉える事ができます。ふふふ・・・。こういう皮肉たっぷりな曲は大好きですよ(笑)(私は決して嫌味な人間ではありません(汗))
 ということで非常に素晴らしい作品なのですが、なんと、今作にはオランダのゴシックメタルバンド「Nemesea」の方がゲストボーカルを務めているようですね。言われるまでまったく気付きませんでしたよ(汗)ちなみにNemeseaはセカンドしか聴いたことがないので詳しいことは分かりませんが、今度紹介します。。。
 さて長々と書きましたが、今作はパワーメタルの代表作と言っても過言ではない出来栄えでしょう。これは新品で買って正解でしたね!・・・かなり前の話ですが(汗)・・・まぁとにかく、メタルに興味を持った方はまずこのバンドから入った方が良いかも知れませんね。トルコ行進曲などの有名曲もカバーしてますし、何よりバランスが良いので聴きやすいです。
 メタル初心者の方は是非試聴してみてください!!