姫神

雪譜<HQCD>

雪譜

 NHKの番組「神々の詩」で一躍有名になり、既に海外でも評価されているというバンド「姫神(Himekami)」の作品です。このバンドに関しては曲は聴いたことあるけど曲名が分からなかったという方も意外と多いはず。。。ちなみに私もその一人でした(笑)それと彼らはもともとインストバンドで、歌い出だしたのは最近らしいですね。ただ歌も良いですが、やはりその前に彼らの歴史を知らなければ。。。というわけで、歌の作品に入る前にこちらを購入してしまいました。・・・って言ってもこの作品は偶然ジャケ買いしたもので、これから本格的に「姫神」を知ったんですけどね(汗)
 今作は1987年に発表されたもので、既に八作目になります。全10曲約44分、全曲インストで、タイトル通り辺り一面の雪景色を表現しているかのようです。う〜ん、耳に優しい。。。阿鼻叫喚、血の滴る音がこだまし、這いずるようなうめき声を聴くのも良いですが、やっぱりこういう自然的な作品も好きですよ。もしこれが入った状態で友達にウォークマンを貸したら、「お前のウォークマンサハラ砂漠並みの温度差があるぜ」と言われてしまう可能性があるので、貸すときは細心の注意が必要ですね〜。
 ・・・ってそんなことはともかく(汗)この作品は「雪」という一つの自然現象を題材にしながら、バラエティに富んだ表情豊かな出来栄えとなっています。お気に入りの数曲だけ説明しますね。一曲目「細雪」は雪の無情さを表したような冷たく切ない曲で、純粋な寒さを感じさせられます。これは良いですね〜。同じ音階だけの構造が降り続ける雪を連想させ、かえって効果的ですよ。続く二曲目「青らむ雪のうつろの中へ」はなかなかメロディアスな曲で、クワイアまで使用した力作です。これは寒さというより切なさを表しているように感じます。ファイナルファンタジー2の雰囲気が好みの方は気に入るかも知れませんね(笑)三曲目「雪光る」はこれまでの冷えた雰囲気とは一変、明るい曲となっております。タイトル通り降り積もった雪に日の光が当たっているような温かい印象を受けます。そして特筆すべきは五曲目の「ひとひらの雪」でしょう。この曲は他の曲とは異なり、はっきりとした輪郭が感じられます。曲の後半から聴こえるアルペジオは今作中最も印象に残るメロディで、そこからは儚さや切なさといった感情が一気に込み上げてくるようです。姫神はメロディ重視で聴くものではないとは思いますが、これには感動させられましたよ。最後に紹介する八曲目の「風花」はドラムまで用いた本格的な「和」の曲です。横笛の音色が日本の情緒を表現し、強弱のついたドラムからは力強さが感じられます。この曲だけ力強さが感じられ、他とは雰囲気が違いますね。これもお気に入りの一曲です。
 ちなみに本作は純粋なアンビエント・ヒーリングミュージックなので歌詞はないのですが、その代わりに一つの物語が綴られていました。やたら難しい文章で郷愁の思いにふける男の話が書いてあると私は解釈したのですが、これは他にも捉え方がありそうですね。。。なかなか楽しませてくれます。
 ということで今回の紹介は終わりですが、このアルバムはヒーリングミュージックを聴く方なら持っていて損はないと思いますよ。雰囲気で聴くのも良いですが、一曲一曲のインパクトも強いです。また、歌を歌っている姫神しか知らないという方もこれを聴いてみてはいかがでしょうか?ひょっとしたらすごく気に入るかも知れませんよ。。。
 ちなみに私はすごく気に入ってます(笑)