Blacksun


「Tragaedia Eternal」

 バンド名があまりにも単純過ぎるためにネットで検索してもまったくそれらしきものに出くわさないという、ギリシャ出身の変人達の五作目のデモです(汗)実は彼らは1993年に結成し1994年からデモを発表しているのですが、今までに発表されたアルバムはなんとたったの二枚。。。数々のメンバー入れ替えもあり、もはやバンドとして活動していること自体が不可思議な、やたらツッコミどころの多いバンドです。・・・が、やってる音楽はなんとも正統的なメロディック・メタル。。。・・・なぜかそんな彼らに敗北感を感じてしまうのですが、これは一体何なんでしょうか(汗)
 ・・・とまぁそんな前置きはさておき本題に入りましょう。全6曲約30分、世界的に見てもマニアック極まりない音楽がスピーカーからこれでもかと言わんばかりに溢れてきます。そんな彼らが力強く演奏する姿を思い浮かべながら、私は独りで感慨に浸ります。
「この人達はどうやって生計立ててるんだろうなぁ」
もはやこの年数ではベテランと呼ばれてもおかしくない彼ら。・・・が、しかし一向に知名度は上がる気配なし。彼らの行く末が非常に不安です(汗)・・・でもそれもそのはず。このヴォーカル、はっきり言ってセンスがありません。声自体は問題ないのですが、高音域がまったく出せず、強弱による表現すらできていません。まぁ確かにパワーメタルではヴォーカルは重要視されていませんが、メロディラインを歌うにはこれは酷すぎます。楽器隊の方は良いんですけどね〜。ものすごく残念です。では一曲ずつ感想を交えながら簡単に紹介していきましょう。
 1、「River Of Betrayals」03:50
 湿り気のあるダークな雰囲気のギターリフと聖歌的バックコーラスが印象的なオープニングトラック。この曲におけるヴォーカルは強弱のなさがかえって雰囲気を深めているため、どちらかと言えば好印象です。全体的にまとまっていて聴き易い曲ですね。個人的にはこの作品における最高傑作。
 2、「Shadow Of Beauty」04:30
 ヴォーカルが苦痛で歪む酷な一曲。若干強弱をつけようと頑張っているが、見事に裏目裏目・・・。ただ北欧産メロデスに近い哀愁漂うメロディをかき鳴らす楽器隊はなかなかのものです。これも結構カッコいいです。
 3、「Tragaedia Eternal」04:27
 ピアノの演奏と女性のコーラスから始まるタイトルトラック。Estatic Fearのようなゴシック・シンフォニック系に近い一曲ですね。ちなみに女性ヴォーカルを起用しているのですが、案の定酷い有様に。。。曲自体は良いんですからもう少し強弱付けて歌いましょうよ(汗)
 4、「Invisible Thorn」05:37
 全曲中最もアグレッシヴな一曲です。純粋にギターがカッコいい曲。それとどうやらこのヴォーカルに「伸びやか」という言葉は無縁のようですね。。。
 5、「A Theatrical Act Of A Depressive 」06:36
 デッド・オブ・ヴォーカルソング。ムリしないで身の丈に合った歌い方をしてください。・・・ってかこれをイェンス・カールソンが歌ったらどれだけクオリティの高い作品になることか・・・(涙)あまりにももったいないですよ。
 6、「Wampyr」04:50
 ザ・ヴォーカル最悪ソング。ドルイドの呪詛でも聴いているかのような感覚に襲われます。もはやDark Elfと同等と呼んでもいいほどの失敗作。

 ・・・と、散々ヴォーカルを罵りまくりましたが、楽器隊によるメロディはキラリと光るものを感じました。本当にヴォーカルさえ改善されれば一発で知名度が上がるような気がしますよ。なので個人的にはこれからも見守っていきたいバンドの一つです。・・・ただ、やっぱり今作は他人に勧めたい作品ではありませんね(大汗)

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