Havarax

アルバムタイトル「No Access To The Divine」

 フランス、パリ出身の独りデプレッシヴ・ブラックメタル「Havarax」の2008年発ファースト・フルレンス、全9曲約42分。
 1曲目ののっけからヴォーカルの絶叫でスタートする本作。映画の残虐シーンのサンプリング(らしいです。)やヴァイオリンによるインストの導入など、割と変化に富んだ内容となっています。また音の構成は、苦痛に歪んだような絶叫ヴォーカルにメロディアスなトレモロリフ、そしてうっすらと被さるシンセサイザーがそれぞれ交錯し、攻撃的でありつつも奥行のあるつくりとなっています。なお、割と大人しいドラムは打ち込みによるもののようです。
 鬱ブラックをさらに細分化しようとしたとき、それは内的攻撃性か外的攻撃性、即ち自傷に走るか他人へ当たるかに分かれると考えているのですが、その視点で言えば本作は明らかに後者であると言えます。1曲目や8曲目で聴こえる映画のサンプリングは非常にサディスティックな内容であることが伺え、本作の方向性を示唆したものと捉えられます。これらがおそらく音楽的背景なのでしょう。
 1曲目はサンプリングが曲全体に散りばめられ、どす黒い攻撃性が前面に押し出されています。メロディアスで整合的な音作りであるためか、サンプリングの不気味さが余計際立つ恐ろしい曲に。。。2曲目はメロディアスさと不協和音が絶妙な1曲。この曲は本作中最もベターな構成で聴きやすく個人的にもお気に入りですが、YouTubeにはありませんでした。残念!5曲目は冒頭で触れたアコギとヴァイオリンによる哀愁漂う曲で、1分40秒ほどのインスト。その次6曲目はシンセサイザーの働きがGood。下に貼っておきます。
 さて非常に簡単に説明しましたが、本作はシックなブラックメタルが好みの方にオススメしたいと思います。また、メロディアスなトレモロリフが好みの方は気に入っていただけるはず。。。
 ちなみに個人的に音の構成は非常に好みなのですが、どうもサディスティックなのは苦手でして・・・サンプリングはできればあまり聴きたくないですねぇ。自分の激情のはけ口が自分自身か他人か・・・自らの虚無感を埋めるために他人に当たる醜悪な姿を描いた本作は、なかなか鋭い所を突いているのかも知れません。
 ・・・ってか、2曲目タイトル「Beat Up The Ones You Love」
愛する人をぶちのめす)
 これ、ほかに何かなかったの!?


↓6曲目「The Emptiness Complete」 メロいぜ。