Amorphis

Skyforger

Skyforger

 スオミを代表するメロディック・デスメタルの巨匠「Amorphis」の9thアルバム。日本盤全12曲約57分、ラスト2曲はボーナストラック。
 今作の主人公は鍛冶屋の「イルマリネン(Ilmarinen)」。彼の手は天を創造し幸福の道具を創ることができたが、唯一人の心だけは創造できなかった―。本作は天空の神の悲劇を回想録的に歌い、音楽的にも高い領域で融合した傑作です。
 曲調はかつてのメロデスを離れ、プログレッシヴな要素をふんだんに盛り込み、民謡色の強いメロディで構築されています。ほとんどのリフがメロディアスで、そこにうっすらと被さるシンセサイザーがとっても素敵。今作ではクリーンヴォーカルも多用され、聴き易さに重点を置いたような印象を受けます。しかしながら、聴き易さが向上したとはいえそれはあくまでも一側面の話。いわば「陽」の部分が増したというだけで、「陰」の部分は未だ健在です。深みのあるデスヴォイスは愛する妻を失った彼の慟哭を体現し、ギターも攻撃性を帯びます。要するに表現が多様になったわけですね。
 いやはや、さすがAmorphisです。今作は個人的なお気に入り盤ですよ。。。特に2曲目「Silver Bride」がイイ!ピアノ等の穏やかな旋律からのメロディアスなギターリフに入るパターンが彼らの十八番ですが、今作でもしっかり踏襲。痛切な歌詞を哀愁全開のメロディで表現します。
 ということで、今作はAmorphisファンならレッツゴ―ですよ(笑)いや、初めてでもかれらの音楽には触れてほしい。いやいや、彼らの音楽はメタル界でのみ評価されるべきではないはず。それほどのポテンシャルです。。。