Dark Tranquillity

フィクション

フィクション

 彼らはスウェーデン出身のメロディックデスメタルバンドで、In Flamesと並んでメタル界における最重要バンドの一つとされています。デスメタルに哀愁漂うメロディを乗せて演奏する、いわゆる「メロデス」のスタイルは彼らが確立したのだとか。
 今作はそんな彼らの八作目にあたり、ゲストボーカルとしてThe Crest及びTheatre Of Tragedyのネル嬢が参加しております。内容は日本盤全11曲約51分というメロデスらしい非常に聴きやすい構成となっていて、現時点では過去最高傑作と賞されています。曲調はミドルテンポと疾走系が中心で、若干今回は疾走パートが多いように感じました。
 さすがスウェーデン出身というだけあって曲は哀愁漂うものばかりで、どれをとってもメランコリックの嵐です。ただギターメロディもさることながら、今作のメロディの中核はキーボードでしょう。今までは雰囲気程度にしか使用されていなかったキーボードが、今回は前面に押し出されています。女性ボーカルやクリーンボーカルを用いなくとも、この儚いピアノの旋律とデスボイスさえあれば醜と美の対比が実現できてしまっているように感じますね。べた褒めですが、そのくらい心に響くものがあるのですよ。
 個人的に特に気に入っているのはトラック1、3、4、7で、かき鳴らされる切ないキーボードに激しく感動しました。ただこのアルバムは本当に素晴らしかったので、選ぶのにすごく苦労しました。
 このアルバムはメロデス初心者の方にぜひオススメします。Children Of Bodomのテクニカルな音づくりとはまた別の深さがあり、そういった意味においても楽しめるかと思います。ちなみに私はChildren Of BodomよりDark Tranquillityのほうが好みです。